大菩薩峠〈1〉 (ちくま文庫)



大菩薩峠〈1〉 (ちくま文庫)
大菩薩峠〈1〉 (ちくま文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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とりあえず始めから読んでいきつまらなくなったら止めれば良い

時代劇の定番であるニヒルな剣士物のルーツとも言える超大作。登場人物百数十人。
しかし純粋に時代劇として、剣豪小説として読めるのは最初の数巻だけで、ここまでは手に汗握る面白さですが、
あとは次第に「思想小説」へと変化して行き、いくつものストーリーが絡み合いながら
「人間界の諸相を曲尽して、大乗遊戯の境に参入するカルマ曼陀羅の面影を大凡下の筆にうつし見んとするなり」
と作者が言っているように独自の仏教観に基づき「無明」をテーマとした世界が展開されます。
ストーリーの整合性よりも思想が先走って、いったい何を書いているんだろうと思わないでもないですが
通俗的な意味での物語性も残ってはいるので何とか読み進めないこともないです。
最後の方では時代劇というより、それが書かれていた昭和初期の出来事をそのまま取り入れたりして作者の筆は走りまくります。
全巻通して読む価値があるかといわれれば少々躊躇します。
なお机竜之介が一応主人公とすれば、裏主人公は神尾主膳でしょう。
とめどもなく舞台は進む

 全20巻を読んだ数少ないひとりです。面白いと思い始めると、すぐに次の巻へと進みたくなります。しかし、どこが面白いのでしょうか?下手な文体で、とめどもなく舞台は進むといった具合で。
 結局、机龍之介から下っ端の侍、女こどもに至るまで、一人ひとりが鮮やかに描けているということなのではないかと思います。「夜明け前」を正史とすればこれは裏の歴史であるといいます。そうした時代背景の中で人間が描かれているのではないでしょうか。
 何本かの映画になっていますが、どれも机龍之介に焦点を当て過ぎており、原作のなんとも言えないオハナシの味が薄くなってしまっています。片岡知恵蔵の龍之介がいいとは言えないが仲代達矢の大菩薩峠は原作の半分しか映像化していない。残念だ。
 
全20巻の未完の大作小説です。

私でさえ、1巻を読んだだけで、2巻を読みたくなり、その文庫本は、すごく分厚いのですが、結局、20巻、すべてを何ヶ月もかけて、すべて読み続けました。それは、こんな、小説が、しかも、日本に存在するのかと、カルチャーショックをうけました。登場人物の多さ、しかも、個性豊かな人達は、とても、くわかりやすく書かれています。

是非とも、若い人達に読んでいただきたいですね。
眩暈がするほどの名作

独断と偏見だが、『大菩薩峠』は日本文学の最高傑作のひとつだと思ふ。とにかく面白いのなんの!一旦読み出したら最終巻まで憑かれたように読むしかない、「魔」が潜む作品だ。
何が凄まじいと言って机竜之介だ。このキャラ造形は「ミラクル!」の領域。特に彼が盲いて以降の鬼哭啾々の迫力は何にも喩えようがない。
殺人鬼である。不気味である。狂っている。しかし同時にどこか品が良くてオットリもしている。とにかく、そう、「魅力的」としか言いようがない。彼が行く先々でオンナに面倒見てもらえちゃうコトにご都合主義を感じないのも、彼の発する「魔」が紙面から立ち上ってくるからだ。狙った効果なのか。いや、狙って出る効果ではあるまい。
そして読み進むうちに奇妙な想念に駆られる。「机竜之介になら殺されていいなぁ…」などと。
とにかく、机竜之介以上のフィクションキャラに出会った記憶を私は持たない。
加えて、本書は全体的に大変にエロチックだと思う。いや、濡れ場などはない。しかしエロスが滲み出ている。中里介山は絶対にスケベだったと思う。これはもう読んで頂くしかない。
机竜之介にばかり言及したが、彼以外にも魅力的なキャラがもりだくさんでとにかく飽きがこない。ロードムービー的味わいもあり、歴史小説の趣もあり、興趣の尽きない豊穣な世界だ。
皆様、是非是非、全編読んで下さい。絶対損はしません。
古い時代小説ではない!

読む前は古めかしい時代小説くらいにしか思っていなかった。読むきっかけを与えてくれたのが鹿島茂氏の「ちくま」誌での論評だった。読んで驚いた。非常にスピーディで現代的な群像ドラマなのである。時代は幕末。新しいものと古い日本がせめぎあう時代。主人公、机龍之介は虚無的な剣の達人で途中で視力を失う。かれがまた女性にもてるが、彼女たちは皆不幸になる。龍之介の虚無が徹底しているだけに、それがヒーローらしさを際だたせる。惜しむらくは、最終巻が支離滅裂になり、なんとも中途半端であること。永遠に書こうとした作者の現れでもあるのだが。



筑摩書房
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